2000年3月

「さあ、これから」

 月後半に大雪が続いたせいで、残雪が多くあります。田んぼに散布する微生物資材を作り始める時期ですが、少し遅れています。思えば、 年の初め1月頃はまったく雪がなく、観測史上最低の積雪量とうわさされました。異常気象は真夏の水不足を予感させ、恐いものがありました。やはり雪国には雪が降らないと、どこかの歯車が狂います。 ですから2月の雪に私たちは、ひと安心と胸をなで下ろしました。
 コメ作りは1年に1回転しかできません。農業生産のサイクルは気の遠くなるような長いスパンで、工業生産のそれとは別物です。しかも自然のなかで生産していくのですから、毎日が自然との闘いです。格闘です。日照りの夏も、冷夏の夏もあります。台風が収穫前のイネをなぎ倒してしまうことだってあります。決して思うようにはいかないもんです。工場で規格品をつくるように、同じものを「大量生産」することは出来ません。生産性を上げるんだと夜通し電気をつけての「昼夜連続操業」なんていう芸当もできません。 1年に1回転の生産サイクルですから、新しい技術を導入するにしても、何年もかかります。 確かに生産性は低く、経済効率はあまり良くはありません。のろまで、進歩のない産業に映ることもあるかもしれません。
 しかし、 自然は、私たちよりも明らかに大きな存在です。経済効率でははかれない素晴らしいものが、そこにはあります。まもなく雪が解け、草が芽を出し、動物たちが動き始め、本物の春が来ます。たくさんの音が聞こえてきます。桜が咲く頃は、いよいよ春本番、静寂の雪の世界から、一気ににぎやかな世界へと変わります。この自然の美しさは、私たち人間が作り出すことのできないものです。遺伝子組み換えの技術でも追いつけない、大自然の営みです。 人間は自然のなかで生かされているという感覚が、私には実感としてあります。
 また、農作業が本格的に始まります。「おいしくて安全なコメを作りたい」と動き始めます。そして、「おいしくて安全なおコメを食べたい」という人に送り届けます。そう考えると、結局は人と人とのつながりがコメ作りの基盤なのかもしれません。今年も、どこでどんな人が私のコメを食べてくださるのか、それを考えながらつくりたいと思います。愛する家族のために、家庭の主婦が料理をつくるのと同じ気持ちで、こころを込めて作ります。
誰が食べるのかわからないで作るのと、食べていただく方のことを考えながら作るのとでは、作品はまったく違うものになるでしょう。
 「食が細くなったから、たくさんは要らない。少しだけでいい。おいしいものを食べたい」「アトピーなので、安全な玄米を探している」 いろんなかたがいらっしゃいます。どうぞ、みなさんおコメに対する思いを聞かせてください。 コメ作りを通して、多くの方とふれあうことが出来れば素晴らしいと思います。

 



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