2001年5月

「いい土は、やわらかい」

 
 さて、土の話をしようと思います。
 皆さん、最近どこかで土をさわりましたか。最近、土をぎゅっと握ったことがありますか。どんな感じでしたか。あたたかかったですか、つめたかったですか。
スーパーなどで売られている泥つき野菜を汚いと感じる子供も多いそうですが、本当に土は汚いのでしょうか。バイキンだらけでしょうか。土を触るときにそんなことを感じましたか。
 土は私達の生命の源です。健康な土、ひと握りの中には、何億もの微生物・細菌が生きています。もちろんその中には、いい菌もいれば悪玉菌もいるわけですが、でも、それがそのまま私達の生命の縮図です。私達の体の中でも、いい菌・悪い菌ひっくるめて、それこそ無数の菌が生活しています。雑菌をやっつけようと殺菌・滅菌を繰り返せば、善玉菌もいなくなり、さらに抗菌グッズで身の回りを固めれば、無菌状態で暮らすことになりかねません。まるで手術室ですね。健康な人間は、手術室では暮らしません、ははは。私達の生活は、きっといろいろな菌に囲まれていて、正常、普通なのだと思います。善玉菌と悪玉菌が両方あって、それが一定のバランスで均衡を保っている。それが自然なのではないでしょうか。

 春になると土が動き出します。
 動くといっても移動するわけではなくて、モコモコっとした感じ、そうですねえ、ふわっと盛り上がってくる感じになって来ます。長い冬の間、土は雪の重みのために、押しつぶされて締まっています。その埋もれて冬眠をしていた土が、春になると生き返ってくるようです。一面に淡い色の草が生え、ミミズがのたくり、青ガエルがあわられて、田んぼを歩いてもふんわりとやわらかくなるのです。靴の底で感じるモコモコッとした春の感触です。
 スコップを挿したときに、いい土はやわらかいものです。そして温度が高い。あったかいのです。
 ふんわりとあったかい感じのする土は、たいてい良く肥えたいい土です。微生物が元気よく活動しているからでしょう。逆に冷えた感じがして固い土はダメですね。春には、田起こし、代かき、田植えといくつのも作業で、田んぼの土にまみれる日々ですが、土の良し悪しを見る一番の目安は、やわらかいかどうか、ですね。だから、適度に乾いた土を、ぎゅっと握ってみるのはおもしろいですね。上越地方の土質は粘土質なので乾くとカチカチになりやすいのですが、有機質の多い土、微生物の元気な土は、やっぱりやわらかいものです。(土のことを「ベト」という方言があります。きっと、湿るとベトベトするからでしょう・・・)
 「田んぼを作るとは土を作ること」。今年もそんな格言通りにいきたいものです。健康な人間が、健康な土で、健康なコメをつくる、そして健康な人がそれを食べる、実に結構!! 結構です!!

 

 


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