「初心」

 新年明けましておめでとうございます。
 今年も変わらぬご愛顧を、よろしくお願い申し上げます。

 雪が降っています。
 自然というのは不思議なもので、いったん降り出すとなかなか止まりません。遠くで地鳴りも聞こえます。雪は生活する上ではウンザリすることも多いのですが(道路や駐車場の雪かきをしたり、屋根の雪降ろしをしたり、吹雪の日に車を運転したりすること)、それでも雪は、見るものにとっては大変美しく季節のうつりかわりのすばらしさを感じずにはいられません。どこか神秘的なものです。
 なにしろ風景を一変させます。見にくいものも汚いものも、草も木も、車も、家も、すべてを氷の中に閉じ込めて、白一面の世界にしてしまいます。
 まぶしく新しい「白」を見ていると、気持ちが引きしまる思いがします。凛とした緊張感があります。
 
 この雪がやがては解けて、水田をうるおし、夏に稲を育てるのです。本当によくできた自然のシステムですよね。雪の下に埋もれているからこそ、田んぼは眠り、力をたくわえ、おいしい米を作り出すのです。まわる季節の不思議さに、びっくりします。
 私は正直いうと、神様をあまり信じるほうではなくて、お祈りもおはらいもしません。農村につたわる伝統的な儀式もしません。五穀豊穣を願って踊ったりもしませんし収穫祭もしません。まあ、お神酒だけは喜んでいただきますが・・・。
神様のしわざかどうかはべつにして、やっぱり自然の営みには舌を巻くしかありません。「農業は科学である」という思いではどうしようもありません。
 なぜ雪は降り続けるのか。なぜ、降っても降っても、まだ降りやまぬのか。なぜ、犬は喜び庭駆け回り、なぜ、猫はコタツで丸くなるのか。
 人間の科学と英知では、たぶん及びもつかないことばかりでしょう。大自然の前では、「人間なんてララ〜ラ〜ラララ、ラ〜ラ〜」です。

 1月、年初めです。
 初心に立ち返り、自分がコメつくりを始めた頃を思い出したいと思います。農業は進歩の少ない同じことの繰り返しですが、同じ季節が繰り返されるわけではありません。今年一年を大事に大事にしたいと思います。 

 

 

 


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