「硝酸態チッソ」

 緑色食品。
 有機栽培で作られた農産物のことを、中国語ではそう呼ぶそうです。英語ではオーガニック、日本語では有機栽培、中国語で緑色。おもしろいですね。
 今回はその「緑」について取り上げたいと思います。
 日本では、緑色に対してどんなイメージが浮かぶでしょうか。緑の葉っぱ、緑の野菜などから連想するのは、元気があって、みずみずしくて、若くて、力強くて、さわやかで、栄養があっておいしい、そんなイメージですね。
 ほうれん草を食べると強くなったのは、そう、ポパイでした。アメリカからきたあのアニメの影響かどうかは知りませんが、緑色、葉っぱ、野菜、ほうれん草、ポパイとつながって、緑の野菜を食べると、健康になる元気になると思っている人は多いのではないでしょうか。緑黄色野菜をもっと食べよう!!は、テレビでも新聞でも、健康診断に行っても、どこでも聞くスローガンです。
 ところが、緑なら何でもいいかというと、どうもそうでもないらしいのです。あまり濃い色の緑の葉っぱは人体にはよくないらしいのです。
 葉っぱの濃い緑の原因は、「硝酸態チッソ」。このショウサンタイ・チッソというこむずかしい名前のものは、人間の体内で、発ガン性の物質を作ったり、中毒を引き起こしたりするのだそうです。
 一方、硝酸態チッソは植物にとっては、生長していく上でなくてはならないものです。これを栄養にして植物は育つのですが、過剰に摂取され、余分に蓄積されると葉っぱが濃い緑色になります。栽培のときに、早く育てよう、たくさん収穫しようと、肥料を与えすぎるとこうなります。肥料の量がポイントで、肥料が何であるかは関係ありません。有機栽培でも、有機肥料を与えすぎるとこうなります。有機栽培だから安全だとは、濃い緑色の野菜に限って当てはまりません。ほうれん草そのものがこわいのではなく、またブロッコリーや枝豆や緑茶がこわいのでもありません。深緑色のほうれん草や濃い緑色のブロッコリーが、危ないのです。
 オランダやドイツでは、野菜を売るのに、硝酸態チッソの数値を表示して販売しているスーパーもあるそうです。危険指数を消費者に知らせるのはいいことだ思います。日本ではまだ残念ながら、そんなお店はほとんどないと思いますので、緑の野菜を選ぶときは、色の濃〜い緑色のもの、極端にやわらかそうな葉っぱのものは避ける、というくらいでしょうね。最近、急に硝酸態チッソという言葉をきくようになったのは、安全基準値を越えている野菜が、案外多いのかもしれません。
 私たちがイネを育てるときにも、葉っぱの色が急激に濃くなる時は要注意です。害虫や病気にやられやすくなりますし、倒伏する可能性が高くなります。コメの味も落ちます。そういうイネの姿を「軟弱徒長」と呼んで警戒しています。軟弱徒長の原因である硝酸態チッソと、人体に悪影響のある硝酸態チッソがおなじものだと知って、ああなるほどなぁと妙に分かった気がしました。

 

 

 


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