「契約生産について」

 僕は自分の職業をけっこう気に入っています。
 たとえば、ひとにプレゼントをあげるとします。
 シルクのハンカチを選んだとして、それをプレゼントした相手から喜んでもらえたら、うれしいですよね。
 「あ、いいね。どうもありがとう」
って、笑ってもらえたら、プレゼントしてよかったなって思います。
 またたとえば、特別でもなんでもない日に、美味しそうなチョコレートケーキを買って帰ったら、家族みんな大喜び。
 「このケーキ、おいしーねえ」
とみんなで食べたら、買って帰った本人もきっと上機嫌でしょう。
 「これはなあ、なんとかっていうチョコレートで、な、美味しいだろう? よそのとは、ちょっと違うんだ」
 なんて自慢したりして。
 僕が生産して届けている農産物も、僕の中では「贈り物」の感覚です。「おいしかったです」なんて言われると、すごくうれしいんです。さらにこの場合は、言葉だけでなく代金まで、いただくわけですから、これはもう、めちゃくちゃうれしいんです。喜んでもらえるだけでも、ありがたいやらうれしいやらなのに、お金まで振り込んでくれるんですから。感謝、感激、あめあられ。
 なかには、美味しいおコメいつもありがとう、ってお礼を添えてくださる方もいて、ここまでくるともう、なんと答えてよいかわかりません。
 農業も、小さなビジネスですから、やっぱりお金の出入りで回っています。お金が滞ると、ストップしてしまうのですね。ですからお客さんが大事なのです。極端に言えば、生産者の「思い」だけでは農産物はできません。(まあ「思い」のないひとも大勢いるんですが・・・。)1〜2回はできても、お金がまわらない限り、そこでおしまいです。秋山農場がこうしてまわっているのは、言うまでもなくお客さんに恵まれているからです。
 農産物は、肥沃な大地や純朴なお百姓さんが作るのではなく、お客さんが作るのです。そう、いい土地やいい生産者がいる以上に、お客さんの指示や声が、作物を育てる原動力です。
 年間予約をしてくださったり、前金でお金を入れてくださる方なんて、ビジネスの出資者みたいなものですよね。だから、僕なんか勝手に「農場の同志」だと思っています。同志です、同志。農場をよくするために。美味しいものを作るために。お金を出す人、技術を出す人、アイデアを提供する人、農地を貸してくれる人。汗をかく人。・・・・いろんな力が集まって、それで形ができるのですね。
 どうぞ皆さん! 美味しいものが食べたい皆さん! また農のある生活に共感をおぼえる皆さん! どうぞ大きな声を今年も聞かせてください。明るく楽しく行きましょう。食べる人の大きな声が、作物を育て、生産者を育てます。
 今年もどうぞよろしくお願いします。

 





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