「青空の下でごはん」

 都会に住んでる皆さん、わが新潟県板倉町は本物の田舎です。
 町内に24時間営業の店は皆無。コンビニはやっと一軒しかありません。国道も鉄道の駅もありませんから、全国チェーンのお店も、ファミリーレストランも出店してきてくれません。まあ、店を出してもお客さんが集まらないのでしょう。
 当然、会社や役場に勤めている人たちでも、お昼どきには自分の家に帰って食べる人もいます。お昼ご飯を家に帰ってたべるなんざ、スペイン人のようですね。そしてもちろん私も、お昼は田んぼからあがってきて家に戻って食べます。汗をたくさんかいたときは、シャワーを浴びてからかならずビールもいただきます。日中の炎天下を避けるために、食後、昼寝をすることさえあります。まさにスペイン人です。でも怠けているというよりは、これが合理的なやり方なんですね。きっと昔の日本でも、みんなが農業をしていた頃はそうやっていたのだと思います。
 それでも農繁期はあまりの忙しさに、家に戻らず、田んぼでお弁当を広げたり、車で隣の町の食堂まで行ってご飯にすることもあります。通常勤務の形態じゃなくなるわけです。自分の家で食べるご飯の回数が、減る季節です。
 ひと昔前だと、外食って大きなイベントだったり、ご馳走だったりしましたが、今ではそんな感じはなくなりました。昔ほど外食に心がときめかなくなりましたね。皆さんはどうですか。時代が変わってきたのでしょうか。今だと外食するって、ご馳走を食べにいくというよりは時間の節約なんじゃないでしょうか。外食の多い人って、仕事で忙しい人が多いですよね。家でゆっくりご飯の食べる時間のない人。もちろん作る時間のない人。
 そりゃ、高いお金で高級料理を食べにいけば豊かな感じは味わえるのでしょうけど・・・。田舎もんはそんな機会にも、なかなかめぐまれませんしねえ。
 手の込んだ家庭料理のほうが、むしろ豊かな感じがするのはなぜでしょうか。いい食材を吟味して、下ごしらえして、料理して、それからみんなで食べる。時間、かかります! これぞスローフードですね。お金よりも時間がたっぷりかかります。豊かさとは、単純に時間がかかるってことと関係があるのでしょうか。そうやって考えたら、農民の食事はすごいですよね。おコメを食べるのに、種をまくところからやってるんですから。ありつくまでに1年かけて育てるんだからねえ。時間の長さで競争すりゃ、結構なもんでしょう。気が遠くなるくらい、時間がかかっています。
 個人的な好みでいえば、簡単な外食よりはやっぱり手づくりのお弁当です。田植えのあいまに、あぜ道で食べるおにぎりなんか、最高の贅沢のような気がしています。ピクニックに行ってるような気分です。




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