「悩んだ末に」

 悩んで悩んで、考え抜いた末に結局、値上げすることにしました。先月号からもお知らせしてきたとおり、天候にめぐまれず不作の年となりました。稲刈りはまだ途中でして、完全に終わってはいませんが、1割〜2割の減収は確実となりました。
 秋山農場が直接販売するコメの値段は、最初からずーっと何年も、同じ値段でやってきました。一定の価格で、一定のお客様と、ながーいお付き合いをしたいというのがその理由です。一般のコメの相場というのは、株式の相場みたいに上がったり下がったりの波があるんですが、秋山農場では一定の販売価格でずっと行こうと考えてやってきました。その波のなかで、ちょっと損をすることも、もうかることもでてきますが、価格は一定で売ろうとずっとやってきたんです。我々は生産者で直売でやっています。それに、安定的に永いお付き合いをしてくれるお客さんに恵まれてきた、というところもあります。スーパーやデパートなんかのお米売り場ですと、同じ商品、同じ銘柄でも毎月ちがう値段で売られているはずです。
 しかし今年は、収量が大幅に少ないので、値上げをせざるをえない、苦しい状況になりました。もちろん本意ではありません。秋山農場の台所事情が支えきれないほどの、減収なんです。力不足で申し訳ございません。ご理解を賜りますよう、心よりお願い申し上げる次第です。
 あちこち、お客さんに打診しましたところ、「減収だから値上げするってのは、まあ仕方ない。じゃあ、豊作の年は値下げしてくれるのか?・・・」と質問されました。なるほど、おっしゃる通りです。うーん、と考えこみました。そこが、むずかしいんです。栽培方針として「食味重視」を掲げていますので、化学肥料を多投しない、コメの作り方なんです。米ぬかや微生物を田んぼに何年も入れつづけて、豊かな生態系が保たれるような土づくりを、してきています。カンカン照りの晴れた夏であっても、増収のために化学肥料を追加投入はしない方針なんです。で、天候不良で2割減収することはあっても、天候が良くなったからといって2割増収するなんてことはありません。そういう作り方なのです。
 9月のコメ相場は1ヶ月間で3割も急騰しました。日本政府は古米の在庫をずいぶん抱いているようですが、新米のコメ不足は顕著です。秋山農場の今回の値上げは1割程度の予定です。また「便乗値上げ」でずっと続く値上げではなく、あくまで2003年産に限りの「臨時の値上げ」のつもりです。この夏の異常気象は何十年に一度のひどいものと言われていますので、来年になって平年並みの天候に落ち着けば、元の値段に戻したいと思います。
 皆さんの忌憚のないご意見・ご感想をお聞かせ願えると幸いです。秋山農場は100年構想とまではいきませんが、30年くらいの構想を持ってやっています。どうぞ末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。 




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