「生産履歴」

 どこで、だれが、どんなふうに作ったか。
 このところ、食品ではそれがすごく大事だといわれます。
 大手の乳業メーカーや大手のハムメーカーがインチキをしましたので、それ以来、みんなが過敏になっています。表示に対する信頼は、揺らいでいます。本当のことが書いてあるのかどうか、袋の印刷にウソが隠れていないか、疑ってかかります。僕だって、もちろん同じです。肉や魚や牛乳や果物は、購入したものを食べているからです。コメや味噌では生産者ですが、その他の多くの部分では、買って食べる側、消費者サイドの一人です。わが家には、小さな子供もおりますので、アトピーやいろんなアレルギーも気になります。安全性の面での表示の詐称は、許せません。また、だまされないように細心の注意も払いたいと思います。
 農産物の生産履歴・・・どこで、だれが、どんなふうに作ったか。それをトレーサビリティというそうです。トレーサビリティ。どうしてこんな舌を噛みそうなむずかしいカタカナの名前なんでしょう? とにかくそのトレーサビリティの公開を、農協をはじめ、スーパーやら生協やらが、一生懸命すすめています。売るための戦略なのか、買う側からの熱烈な要望なのか、その両方なのか分かりませんが、いずれにしてもいいことだと思います。
 近い将来、デパートやスーパーの食品売り場にもコンピューターの端末画面が置かれて、バーコードをぴっとするだけで、生産履歴が分かるようになるのじゃないかと言われています。たとえば、すき焼き用の牛肉を買いに行くと、試食用のつまよう枝に刺さった一口サイズの肉片の隣に、パソコンの画面か何かがあって、バーコードを小さな窓にちらっと当てるだけで、三重県松坂地方の山田さんが育てたゴンノスケという3歳のオスの和牛をつぶして、四日市の解体工場で精肉された・・・牛肉、というようなことが分かるようになると言われています。さらに山田さんが何歳で、どんな牧場を経営していて、ゴンノスケはエサに何を食べていたのか、ビールも飲んでいたのか、霜降りの具合からいって健康状態はどうだったのか、抗生物質やホルモン注射は有ったのかどうか、そんなことまで売り場で一瞬にして知ることができるんじゃないかと言われています。「肉の履歴書」がカラープリンターで印刷できて、それを見ながら買い物ができるシステム。あ、僕が知らないだけで、もうすでに東京あたりには、そういう精肉売り場もあるかもしれません。
 情報の公開は、そんな方向に進んでいます。作る人と食べる人の距離がちぢまり、情報のやり取りができるようになるのはとてもいいことですよね。秋山農場のコメや味噌もどんな形がいいのか、手探りではありますが、これから情報発信をいろいろとやっていきたいと思います。どこで、だれが、どんなふうに作ったか・・・。それに、秋山農場では「どんな思いで作ったか(栽培指針)」を加えて、伝えていけたらなと思っています。ここだけの話、こっそりと教えますよ、という私信に近いものが「理想」なのですが。




HOME

Copyright (C)1997-2003 Akiyama-farm. All rights reserved.

このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載を禁じます。