「木の芽時」

 田植えが始まりました。
 冬の間に雪に閉ざされていた田んぼは、雪解けと同時にやわらかい、小さなクサが生えてきます。すずめの鉄砲、あぜにはすみれや名もなき小さな草花が風に揺れます。
 苗を植える前には、田んぼを耕運し、水を張って代をかきます。鏡のような水面には、残雪を残した山が映ったりします。今は、ちょうど農繁期の真ん中辺りですから、いろんな状態の田んぼがあちこちに点在しています。

 木の芽時には、植物が勢いよく芽をふき、虫がぶんぶん飛び始め、蜘蛛や鳥が卵を産んだりと、地上の万物は活力であふれます。

 田んぼの周辺も、木の芽時に合わせて人口がどっと増え、草を刈る人、耕運する人、代掻きする人、おしゃべりする人、さまざまです。普段は静かな田園も、この季節には大変にぎやかになり、にぎやかになればなるほど、風景がどんどん変わっていきます。雪で白かった田んぼが茶色に変わり、草が生えて薄い黄緑色になり、耕運されて濃い茶色になり、水を張ったらきらきら光って、田植えをすると、そこに苗の黄緑色が混じります。6月になると、ほとんどの田んぼは田植えが終わり、田んぼ人口も減りはじめ、どの田んぼも、緑色の苗が力強さを感じるさせる田んぼに変わります。

 雪の季節が長いこの辺りでは、春の外作業は本当に活発なのです。冬の間に蓄積されたエネルギーが、どっと噴出すように、水田のあちこちにいる人たちも、機械を使った作業とはいえ、生き生きとしています。それは、あぜに生えた草がぐんぐん伸びていったり、虫たちが元気に飛び回ったりするのと同じような感じです。私たちも、草や虫と同じようなものなのだと、春には特に感じます。それは、たくさんの自然の中にいるせいで感じることだとすれば、そんな自然の移り変わりを、皆様にお届けしたいなあぁ、と思います。

 秋山農場のお米は、農薬や肥料を極力押さえて、稲の力を充分引き出すような育て方をしています。今年も元気に育った米を、皆様の食卓にお届けできるように、丁寧に育てていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。




HOME

Copyright (C)1997-2004 Akiyama-farm. All rights reserved.

このホームページ上に掲載されているすべての画像・文書などの無断転載を禁じます。