「僕らはみんな生きている」

 夏は「音」の多い季節です。

 明け方。静寂を打ち破るニワトリのコケコッコー!!
 小さな鳥たちも少しずつ起きてきて、動き始めます。さえずり。チチチチチ。
 チュンチュン。さわやかな澄んだ朝の空気。チュンチュン。
 朝7時、8時。人間の動きが忙しくなる頃には、もう少し大きな鳥が動き出します。屋根の上を走るカラスの足音。ダダッタ。ダダッタ。電線をつたうツバメのすべるように飛ぶ音。ツーーーート。カラスの鳴く声、カアカアカア。
 朝飯前の野良仕事から帰ってくるトラクターの走る音。ドドッドッドッドッド。ゆるやかな振動。通勤時間。仕事に遅れまいと乗用車を飛ばすタイヤの音。ブゥーサーー。
 そして僕ら、作業開始前の打ち合わせの挨拶。「おはようございまーす!」「おはようござまーす!」

 9時半。セミが鳴きだす。いよいよ夏の主役の登場。
 ミーンミーン、ジジジ。ミーンミーン、ジジジ。
 けたたましい。暑さを呼び起こす、さらに暑くなる午後の日差しを連想させる音。ミーンミーン、ジジジ。まるで、頭の上から降り注ぐかのような迫力。あつかましいほどの音のシャワー。
 10時半。小さな虫たちがごく控えめに足元で音を奏でる。鈴虫かバッタか。スイッチョン、スイッチョン、リリリリ。リリリリ。とても涼しげな品のよい音。
 11時。鳥の種類が増えてくる。ピピピー。ピピー。

 お昼。氷の入った麦茶。グラスの中でカラカラカラ。冷たい缶ビールも開けます、プシュ。コップに移す。ドクドクトクトク、ジュワ〜。
 午後1時半。太陽の音。ジーーーーーーー。ジーーーーーー。
 午後2時半、田んぼの中を歩くと、風でイネがそよぐ。さわさわさわ。ザワザワザワ。水路を流れる水の音、シャラーチャラチャラ、シャラーシャラー。
 草刈機のエンジンをまわす。ブ、ブ、ブオーオオオン。
 日焼けしたボディの軽トラ、ラジオからは夏の音楽。ロックンロール。
 4時。犬の遠吠え。ポワ〜〜ン。ポワ〜〜ン。暑そうだ。
 ときどき夕立ち。ゴロゴロゴロ、ピカッ。ザッバー。ッザーーーーー。
 5時。保育園から子供が帰ってきて、庭で、棒切れを振り回して遊んでいる。
「ぼーくらはみんあー、いーきているー。生きーているから、歌うんだー。ぼーくらはみんあー、・・・・・・オケラだーって、ミミズだーって、アメンボだぁーって・・、みんあみんあ、生きているんだ、友達な・ん・だー」
 あ、かたつむり見ぃーっけ。かたつむり、かたつむり!
 6時。蚊が出てきて、耳元でブーーンブーン。
 
 8時。月明かりの田んぼの中からカエルの合唱。ゲコゲコゲコ、ゲコゲコ。
 家の中を通り抜ける夜風。扇風機が首を振る。
 鈴虫。リリリリリリ。   




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