「航空防除の廃止」

 17年度の今年より新潟上越地域でいっせいに「航空防除」が廃止になりました。航空防除とは、空からヘリコプターで、夏の暑い時期にイネにつく病害虫やイモチ菌などを防除するための農薬を、撒くことです。ほかの地域では「空中(農薬)散布」と呼んでいるところもあります。
 都会のど真ん中でしか生活したことの無い人は知らないでしょうが、住宅団地でも15分も歩けば田んぼになるような地域の方なら皆さんご存知でしょう。夏休みのラジオ体操が一日休みになり、その日は、学校のプールもお休みになるという、あれです。早朝、大きなヘリが低空で飛んできます。電柱や電線にひっかかりそうなほど低空で飛行し、頭上で旋回します。家もイネも人間も吹き飛ばされそうなほどの爆音と風です。ヘリが通過したあと、霧のような、粉のような、水滴のようなものが、ゆらりと降ってきて、煙が立ち込めるような感じになります。その「航空防除」が新潟上越地域全体でなくなります。

 農業に携わるものとしても、地域住民としても、航空防除の廃止は本当に嬉しいことです。お客様にお届けするコメも今まで航空防除でかかっていた農薬を減らしてお届けできるわけです。安全で、おいしい食べ物をお届けするのが私たちのような「メーカー」の義務の一つだと思っています。
 上越地域での航空防除は、近年廃止の方向に進んでいました。「私の田んぼには農薬をまかないで下さい。」と言って指定の旗を立て、その田んぼには農薬を撒かないようにすることがあったり、集落や地域で航空防除を廃止している地区があったりと、それぞれ生産者単位・集落単位で抵抗運動が続いてきたのです。

 今までやっていた農薬の散布を無くすと、害虫被害やいもち病にかかるなど品質に問題があるかといえば、それはほとんどありません。秋山農場の田んぼは今までも航空防除のある田んぼとない田んぼがありました。しかし、どちらも同じように元気にたくましく育っています。そもそも、薬を使って病気に対抗するよりも、自己治癒力もしくは、病気にかからない抵抗力を持ったイネ作りをしています。「体力のある」「抵抗力のある」「生命力の強い」そんなイネを作ること、そのイネが実らせたコメを収穫することを心がけているのです。
 現在も、苗を育てています。低温管理で水を与えすぎないように育てています。茎が太く背は低く、根がしっかりと張った、そんな苗をイメージし、苗代管理をしています。お天気にも恵まれ、今日も芝生くらいに育った苗が田を吹く風に揺れています。




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