「Riki-Saku」

 9月26日付けで商標の登録が完了しました。東京都千代田区霞ヶ関3丁目4番3号の特許庁よりはがきが一枚、届きました。受領書だそうです。
 特許庁と聞くと、例の早口言葉の「とうきょうとっきょきょかきょく・東京特許許可局」を思い出しますね。

 秋山農場のこだわり農産物(現在はコメのみ)を、商標登録し「Riki-Saku」というブランド名で統一することにしました。コシヒカリのパッケージはすでに何ヶ月か前からRiki-Sakuに変更しておりましたが、このたび、はれてその商標の登録が完了したというわけです。これからはRiki-Sakuのコメ、といえば「秋山農場ブランドのこだわり米」ということになります。
 実は、ここ数年「特別栽培」「低農薬・減農薬」「有機」なんていう言葉が、とても厄介なものになっています。いま、そういった言葉を使おうとすると、膨大な量の書類が必要になります。そしてまたその書類や書き方が、ネコの目のようにクルクルと変わります。ベテランの精米業者さんのため息が、僕にはとても印象的です。「もうねえ、いろいろと“指導”があるから、うちもやるんだけどー、困るんだよね。おたくもさ、印刷かける時は最小限にしておかないとダメだよ。たくさん印刷しちゃうと後で処分に困るし・・・。ほんとに、雨が降ったら変わる、っていうくらい、すぐ変わるんだから。」。
 何年か前までは、地元の農協が発表している栽培の指針が基準になっていて、それよりも農薬を減らして・・とか、化学肥料を減らして・・・って栽培すると「特別栽培農産物」といって販売できたんですが、現在では少し制度が複雑になってきました。ガイドラインや新ガイドラインの学習、書類作成、申請、パッケージの表示方法、誰かの認証、など細かいことが必要になっています。
 フロム田んぼでは、雪印事件のときも、狂牛病さわぎのときも、「食べる人の安全をどうして最優先しないのか」と疑問を投げかけてきました。ですから、安全な食品が増えていくことは大歓迎です。消費者の意向を受けて、低農薬や有機栽培が浸透していくのは大賛成です。もちろんそういった傾向、時代の要請の表れなのでしょう。そんなわけで、もろもろの規制や指導が強くなって来ているのでしょう。JAS有機シールなどは、その代表格です。それ自体を否定したり批判したりするものではありません。ただ、本来の目的(安全な食品を!)からはずれてきているのではないか、と感じるのです。(生産者にとっては毎年のことで、手間や費用もバカになりません)
 例えば、有機認証の問題を取り上げても、身内か利害関係者が認証しているケースがほとんどのようです。完全な第3者が無料で認証しているのではないのなら、果たしてそれで公平さを期待できるのでしょうか? お金を受け取った審判がサッカーの試合で笛を吹く、それで公平なジャッジが期待できるでしょうか。いろいろなところからの“指導”や“規制”の強化もふくめて、腑に落ちないことが多いように思います。近い将来は「コシヒカリ」という品種名さえ、袋に表示できなくなるのではないか、そんな勢いです。
 ユニークなお客様がいらっしゃいました。「私はね、認証なんてものは基本的に信用しないのです。逆なんですよ」とのご意見。
 僕は、ああ〜そういう考え方もあるよなあ、妙に納得しました。
 秋山農場では、栽培方針や栽培履歴はずーっと以前から公開しています。そしてこれからも続けるつもりです。それは、食べてくださるお客様に伝えるためであって、誰かに認証してもらうためではありません。認証なんていう方法が始まるずいぶん前から、自主的に公開しています。それがブランドなんだと思います。生産者の側がお金を払って、誰かに認証してもらおうとは考えません。お金を払って食べてくださる方々が本当に認めてくだされば、それで充分です。それを一番望んでいます。

 Riki-Sakuの「R」はコメ粒(りゅう)の頭文字、「I」は稲(イネ)の頭文字です。これはタネである米粒を種まきするところから、苗を育て、田植えして田んぼで育てていくことまでを意味します。生産者が農産物を1から育てていく部分を指しています。Riki-Sakuの「K」はイネからとれた米(コメ)の頭文字、そして最後の「I」はいい飯(良いいい)で、おいしいとご飯をかけた言葉です。KとIでは、食べて下さる方の調理や食事の風景を思い描いています。生産者と食べる人が一緒になって作っていくもの、それがRiki-Sakuなのです。
 新しいパッケージには「特別栽培」とも「低農薬」とも、あえて書いてはおりません。でも、普通栽培とも一般栽培ともまるで違うものです。

 登録商標Riki-Saku、ご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。




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