「園芸療法」

 園芸療法士という資格があるそうです。
 ご存知ですか。僕も最近、知りました。
 今のところまだ国家資格ではありません。大学やら国に関係している機関やらが認定する資格なのだそうです。なんか、人気が出てきてるようです。
 土いじりに、いやしの作用があることは、昔から言われてきましたが、園芸療法士となると、ずいぶんと専門的な感じがしますね。
 「何とか士」なんてつくと、弁護士とか、税理士とか、行政書士とか、栄養士とか、宇宙飛行士とか、保育士とか、消防士とか、1級建築士とか・・・そんな、職業的なにおいがします。片手間や趣味でやっているのではなくて、職業の欄に書く音の響きがします。ただまだ僕は、プロの園芸療法士の方には、お会いしたことがございません。アマチュアの園芸療法士の方とも、お会いしたことがございません。
 会ってみたいなあ。純粋に。
 園芸療法というのは、「園芸を通して、生活の改善や心身機能の回復・改善をめざす」ことだそうです。例えば、高齢者施設や老人介護の場面での生きがい。花壇を作って、花の苗を植えてみたり、プランターで簡単な野菜を作ってみたり・・・。それから、子供の情操教育にもいいらしい。身体障害者の生活訓練・職業訓練。体も動かしますし、五感も充分に刺激します。精神的エネルギーが低下している人達のバランス回復。土や植物に触れることで、自然の不思議さを実感したり、四季の移ろいを味わうことができます。仲間とのコミュニケーションも生まれるでしょう。で、こういったことを手助けする人達が、園芸療法士。
 植物を上手に育てることや収穫物を得ることが第一の目的ではありません。
 でもそれが即、療法と、つながるのか、つながらないのか。
 もっと知りたいなあ。純粋に。
 僕らのような農業のプロだって、土や植物には触れています。もちろん、目的が違うので、どこまでが同じなのかというとむずかしいですね。畑や田んぼは、人によっては「癒やしの空間」でしょう。でも、人によっては、職場であり、自己実現の場であり、生活の糧を得る場であり、緊張感のある戦場であり、希望と絶望の両方を目にする場であります。
 「園芸」と「療法」とが、僕の頭のなかではうまくつながらないのです。
 弁護士よろしく、六法全書をひいたり裁判所で裁判をしたりって、療法になるでしょうか。税理士が、税金の計算をしているときは、どうでしょう? 1級建築士が、耐震構造計算書を書いているときは、生きる楽しみを見つけることができるでしょうか。宇宙飛行士の宇宙空間での活動は? 消防士の消防活動は心身の機能回復改善につながるでしょうか?
 でも園芸(農業)には、そういう効果が期待できる!?
 程度の問題なのでしょう。少なくとも僕は、コメつくりで即、療法とはいきません。園芸でも、果樹栽培でも、おそらく癒やされる感じはないでしょう。医者がもし病気になったときに、他人の診察で癒やされた、・・・<診察療法>とはならないと思いますが、それと似た感じです。
 どうなんでしょうね。僕達には当てはまらないけれど、でも、多くの人にとって「楽しみの園芸・趣味の園芸」は、結構いいんじゃないかな、とも思います。 




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