「新米と季節」

 新米をお届けいたします。
 おコメを作っている者にとって、胸の高鳴りを感じる季節です。今年も無事に収穫ができたというおてんと様への感謝、待っていてくれた全国のお客様に今年の新作を発表できる嬉しさ、この新作の味が果たして受け入れてもらえるだろうかという期待と不安、チームメイトとケンカしながらも一年やってきてここまでやっとたどり着けたという充実感。いろんな複雑な思いが、ごちゃ混ぜになって、ぐっとこみ上げてきます。
 それでも胸に湧き上がってくる一番の思いは、農民としての収穫の喜びですね。これは農業に関係のない人に説明するのは難しいのですが、ただ純粋に嬉しいのです。今年もいろいろあったけど、コメが出来た! そんなあたりまえのことが、ただただ喜びなのです。
 昔の農民が「新嘗祭」をしてみんなで喜んだというのも、よーくわかります。現代の稲作は、宗教色は薄くなり、産業化してますので「新嘗祭」なんていうお祭りはまったく見かけなくなりましたが、気持ち的には今も昔も変わりません。酒を飲んだり騒いだりして喜びを表現したい気持ちは一緒です。
 コメつくりに関する苦労は百年前とは雲泥の差でしょう。ほとんどの作業が機械化され人力の作業は極端になくなり、天気予報はその精度をあげ、イネの生育生理や病気害虫が、科学的に分析されます。そんな現代の、栽培管理にコンピュータが大活躍する時代になっても、この季節を迎えた農民の喜びは、やっぱり一緒だと思います。感慨ひとしおです。決して均一のものが出来ない農産物の生産は、時代を超えて、感動を呼ぶものです。昔も今も、イネという生き物と1年向き合った結果、人間の心が動くのではないでしょうか。
 気になるRiki-Saku2006新作の出来は、ひとことで言えば「良好」です。
 春先から7月まで低温と日照不足がつづき、うらめしく空を見上げ、頭を抱える日々でしたが、8月9月の2ヶ月は好天に恵まれて持ち直しました。生育が遅れていたものほど、品質的にはむしろ良いものに仕上がり、胸をなで下ろしています。
 ときどき年配の方より、「新米と古米の味に差がなくなったねえ」という声をお聞きします。「昔は新米を食べると、涙が出るほど感激したものだけど・・・」。
 これは、新米の味が昔より落ちているのではなく、古米の品質管理が格段に上がっているためです。今では秋の端境期になっても、古米特有のにおい「古米臭」はほとんどしないはずです。一年中、保存に関して空調・温度の管理を徹底していますし、発送直前の精米と密封パックでのお届けなど、鮮度を維持するためにとても気を使っています。そんなわけで新米と古米の品質の差は、つまっています。それでも、新米の匂いを嗅いでみてください。ほんのり甘い、とれたての秋の匂いがするはずです。涙が出るほどの感激とまではいかないでしょうけど・・・。もし新米の匂いで、涙が出たという方がいらっしゃいましたら、お知らせください。粗品でもお送りしたいと思います。(笑い)
 繰り返しになりますが、Riki-Saku新米をお届けいたします。これから1年ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。これまで1年かけて丹精込めて作ってきたおコメです。ぜひ忌憚のないご意見ご感想もお寄せいただけると幸いです。  




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