「暖冬・少雪」

 明けましておめでとうございます。
 雪の少ない冬になりました。お正月だというのに、道路にわずか数センチしか雪がありません。田んぼもところどころ、土が露出しています。雪が少ないのは、生活者としては便利で快適です。毎日の駐車場の除雪作業もありませんし、雪下ろしの心配もいりません。車での移動も、時間通りにことが運びます。それでも、手放しでは喜べない気持ちもあって、雪国にはやっぱり雪がないと悲喜こもごも、複雑な想いです。
 数日前の夜、突然の大雪にみまわれタクシーに乗りました。運転手さんの話では、タクシーの売り上げも、雪が少なくて下がっているとのこと。高齢者や山に住む人たちの利用が激減なのだそうです。そりゃそうでしょう。僕だって、大雪の夜でなければ、タクシーを使わなかったかもしれません。運転手さんは恵みの雪だと言ってました。話はそれから、除雪車の出動にまで及び、「待機してるだけじゃ金にならないからなァ」と、少雪の影響の大きい周囲の人たちにも同情が向けられました。雪の日には未明から、巨大なブルーザーのような除雪車が出動して、幹線道路を中心に雪をどかします。費用は市町村で予算化されたなかから作業量に応じて支払われます。土建屋さんなどが冬場の仕事として請け負っていますが、除雪に出動しないと収入にはならず、待機しているだけでは一銭にもなりません。その人たちも困っているだろう、というのです。地域の経済にとっては深刻なダメージのようです。タクシーの運転手さんの困った様子に、僕も考えさせられました。
 年末にJR越後湯沢の駅におりましたが、例年のこの時期ならば、積雪が4メートルにもなろうかという駅のホームで、積雪はわずか数十センチ。「これじゃあスキー場も大変だー」と、スキー好きの僕としては寒い思いがしました。駅構内の暖かさとは対照的です。
 振り返れば、1年前の冬は記録的な豪雪で、新潟県は混乱しました。近くにあるスキー場はスキーシーズン真っ盛りの2月、あまりの積雪に道中のアクセスが不能となり、ついに開店休業に追い込まれました。なんと雪が多すぎて、スキー場がにっちもさっちも行かなくなったのです。結局その後、夏にそのスキー場は経営難を乗り切れず倒産しました(法律的には特別清算というらしい)。出入りの業者は負債を抱えたまま泣き寝入りです。秋になって、外資系がスキー場を買収したと発表されましたが、少雪の冬ということもあって、まだオープンの声を聞きません。今年は閉鎖したまま、やらないのか。1年休んだら、はたして施設は大丈夫なのか? 国際大会も行われるような立派なスキー場だっただけに、そしてスキー場は雪国にとって象徴的な存在でもあるだけに、このまま終わるのは地元の住民としてはとっても寂しく感じます。
 庭をスズメが飛んでいます。何もかもが雪に埋もれてしまわないのでエサ探しに困らず、陽気な鳴き声を響かせています。ときどきお日さまをのぞめる陽気で、鳥達にとっては嬉しい冬になりました。雪に閉じ込められないので、人間も鳥と同じように戸外を自由に動き回れます。灯油代や電気代も節約になる上に、運動不足まで解消できそうです。まさに悲喜こもごも。
 では、今年もよろしくお願いいたします。 




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