「10年日記」

 農場管理に、記録簿は欠かせません。
 栽培日誌ならつけています。
 ○月○日、晴れ、×番の田植え。
 ○月○日、葉っぱの長さ×センチ。葉齢×枚。色の濃さ・・・くらい。
 ○月○日、曇り、肥料10アール当たり窒素換算で何キロ。
 作業日報も、作業した人がそれぞれ記録しています。
 ○月○日、晴れ、8〜12時、H区水まわり。×番〜×番は落水。
 ○月○日、晴れ午後夕立ち、8〜10時、Y区草刈り。10時〜手取り除草。
 ○月○日、雨、午前中、機械の整備。エンジンオイル、グリース。

 毎年、栽培日誌も作業日報も少しずつ様式は変わります。小さなカイゼンを重ねて、バージョンアップしています。何年も前のデータをひっぱりだして、調べることももちろん、ときどきします。
 栽培日誌は、植物の生育状況、天候の移り変わり、高温や低温の対処方法、農薬の減らし方、肥料をやるタイミング・・・。今年の栽培のヒントになるものがたくさんあります。植物の進化は10年程度では起こらない以上、植物の生態そのものも大して変わりません。変わっているのは毎年の天気。ビニールハウスでの施設栽培はしていないので、異常気象ばかりの天気に対応しながら栽培していくには、やはり昔のデータが参考になります。打つ手を考え、ない知恵をしぼり、結局は去年とおなじことをすることもあります。あたらしい試験的な栽培を試すこともあります。温故知新、ふるきをたずねてあたらしきをしる、です。
 作業日報は、作業の効率化・習熟化を図るのに大切です。未経験の人がやるとどのくらい時間がかかるのか、経験値の高い作業者がやると、どのくらいのスピードでできるのか。段取りに無駄はないか、作業の順番はこれでよいか、Aの作業とBの作業を組み合わせることは出来ないか。作業の進め方は、くみあわせの問題なので、アイディアが金の卵です。ユニークな機械や装置をつくることもよくあります。実用新案の申請をいくつもしたいほど、あります。申請したことはありません。
 
 あるお医者さんから、体調の変化を知るためには10年日記がいいよ、とすすめられました。毎日寝る前に、どんな服を着た、何を食べた、どんなことを考えた、新しい電化製品を買った、そして最後に一日の体調がよかったか悪かったか、を書いておくといいらしいです。人間も生物なので好不調のパターンはそれぞれで決まっている、食べ物、衣服、住環境の変化、日々の暮らしや悩み、そういったものの中に体調が悪くなるきっかけはいつもあるらしいです。体調がいいときのパターンやリズムを心がければ病気にならないのだそうです。
 僕は日記が長続きしません。子供の頃から、夏休みの絵日記をちゃんとつけたことはありませんでした。どうも三日坊主なのです。パソコンが普及してからも何度も挑戦し(今もmixiというところで公開日記をやっていますが)、ときどき忘れるじゃなくて、ときどきつけるです。流行のブログで社長日記を読むこともありますが、毎日書いてる人は本当にすごいです。
 植物を毎日写真に撮り観察日記をつけるように、医者は人体を客観的に観察するすべを知っています。ビジネスに帳簿が必要なように、健康管理にも必要な記録簿があるはずです。自分の健康についての毎日観察する、その積み重ねで1年3年5年と続くのでしょうね。
 頭ではわかっても僕みたいにずぼらな人間は、10年も日記をつけるのかを思うともうそれだけでため息が出ます。ふー。最初からため息。
 かえってストレスだったりして。




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