「3つの酸」

 梅をもいだあと、根元にところどころ草が枯れているとことがあります。あらためて梅の木をよく観察すると、取りわすれた梅の実が落ちていて、その周りの雑草が枯れています。梅の酸味は、クエン酸だったとおもいますが、そのすっぱさに加えて殺菌力、洗浄力に驚きです。力強い雑草を退治するのですから・・・。梅のパワーはすごいのですね。まるで天然の除草剤みたいなものです。たいへん高価な天然農薬ですが。
 夏バテ防止に梅干し、体調を崩したときも番茶に梅干し、昔の人はよく言ったものです。健康食品としての梅の利用法です。でも単純にクエン酸だけの効果なら、レモンなどのかんきつ類にもたくさん含まれてますし、食品添加物として炭酸ジュースに入っていたり、梅の実に限りません。炭酸ジュースを庭にまいても雑草は枯れないと思います(実験してないので、あくまでいい加減な推測です・・・)クエン酸自体は、薬局やホームセンターでも売っているのをときどき見かけます。梅干し、梅酒、ハチミツ漬け、塩漬け、僕はどれも大好きなので、むしろ山盛り食べ過ぎてしまいおなかをこわすことのほうが多いです(苦笑)。

 梅やかんきつ類とは違った酸味に「酢」があります。夏場は、小鉢のつめたい酢の物も食欲をそそります。わかめとタコの酢の物。イカのぬた。豚肉の冷製しゃぶしゃぶ。おやつはところてん。米酢のほかにワインビネガーや黒酢など、酢のヴァリエーションもとても増えています。洋食なら、小あじのマリネ、トマトとたまねぎのサラダ。中華なら、蒸し鳥バンバンジー、ぎょうざ。
 酢を調味料に加えると、口の中がさっぱりして身体もきれいになる感じがします。夏は特においしく感じます。僕だけでしょうか?
 食欲のあまりない時も、酢飯にすると食べやすくなるので、キュウリをまいたカッパ巻きは忙しいときなんか手軽に作れてホイホイ食べれます。

 そして、一番興味があるサンは、乳酸です。
 ヌカ漬けが好きなのです。夏野菜、とりわけナスには目がありません。
 ご存知のように、野菜を軽く塩でもんで、ヌカ床に入れておくだけですが、複雑な味わいには乳酸菌が関係しているそうです。ヌカ漬けの味は菌の味。漬けすぎるとすっぱくなってヨーグルトみたいな風味になるのは乳酸菌の働き。菌がなければただの塩味で、キュウリに塩をふって食べても、誰が作っても、まったくおんなじ味になるはずです。ところがこれが作る人、混ぜる人、家庭のよって、まったく味が変わるのですからほんと不思議ですよね。目には見えなくても絶妙な菌類のバランスのとれた世界がそこにあるという感じがします。
 ご近所から漬け物のおすそ分けをいただくことがあります。(田舎の付き合い。嬉しいほう。)みんなどれも違う味です、おいしい。そういえば市販の漬け物ってあまり美味しいものには出会いません。ぬか漬けは特にそうで、半日くらいで味が変わるので流通には向かないのかもしれませんね。家庭の味、またはしっかりした料理屋の味です。
 ぬか床育成はわが家の夏の風物詩ですが、思い入れとは裏腹に味のコントロールがきかず菌の世界の複雑さに今年もふりまわされています。




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