「ストーブは楽しい」
今年はストーブを出しました。出してきました。
ファンヒーターでもエアコンでもありません。ストーブですよ。ストーブ。上にやかんをのっけてお湯が沸かせる、あの昔ながらのストーブです。今年は出してきました。何年かぶりに。
室内の暖房はエアコンや床暖房に取って代わられたので、わざわざ出してこないとお目にかかれませんね、ストーブ。コタツにみかんにやかんストーブで一家団欒って、いつごろまで日本の風景だったんでしょうねえ。最近見かけなくなりました。電気屋さんで昔は売ってたけど、単1の乾電池が2個くらいしかはいっていない電化製品。いまはどこに行けば売ってるのかな。ホームセンターならあるかもしれない。
引っ張り出してきてあらためて良くみてみると、これが危ないんだ。
子供が倒せばまず間違いなく火事になる。マッチをすって点火するのだけれども目の前で火が燃える。それにやかんが乗ってるのでストーブが転倒しなくとも接触事故でやけどの危険もある。ファンヒーターのような近代的なつき方ではない。原始的にめらめらとゆっくり、だけどしっかり燃えている。もちろん地震が来てもすぐには消えない(完全に消えるまで1〜2分かかる。しかも臭い)。
で、そんな危険かつ不便なものをなんで使うのかというと、これが好きなのです。
不便が好きなのではありません。北の国からのゴロウさんではないのです。
このストーブの上で、いろいろ焼くのが好きなのです。普段はやかんをのせてお湯を沸かすところ。細長い穴が何本も開いているので、網をのせると直火のコンロになります。
一番好きなのは、ここでお餅を焼くこと。
箸でつつきながら、ふくらんだとか、転がっただとか、焦げたとか、一人でやっているとこれが楽しい。子供が寄ってきます。小学生の頃、こうやってお餅を焼いて食べたなぁとなつかしく思い出しました。
サツマイモをアルミホイルにくるんでのせておくと15分くらいで焼きイモの完成。ご飯をにぎって網の上で10分。お醤油たらして焼きおにぎり。
一夜干しのイカなんかをさっとあぶるとイカがクネクネしだします。
酒のつまみにはギンナン。ちょっと香ばしいにおいもたまりません。
熱燗もいい加減。熱すぎずぬるすぎず。
いすを運びストーブを囲んで、風情は囲炉裏です。そういえば囲炉裏や火鉢も普通の家庭からは完全に姿を消しましたが、あれもいいもんでした。
このストーブ、熱が真上にあがる構造でして、部屋のほうはあまりあったかくならないんですね。それでますます人が寄ってきます。
笹かまぼこ、ちくわ、めざし。醤油の焦げるプーンといい匂い。ほとんど炉端焼き。居酒屋の様相。
小さな土鍋をちょいとのせて1人前の湯豆腐。
何でも焼けるとなれば、子供はソーセージとパンをのせ大人はハマグリにカニの脚。こうなると暖房器具というよりも調理器具。もうバーベキューです。
危なくて便利じゃなくてにおいも出てあまりあったかくない。でもそんなの関係ね・・・なかなかどうしてとっても楽しい遊び道具です。
紅茶も入れられるし牛乳を温めるのも簡単。落ち着いた火を静かにながめているだけで、寒い冬だってそれほど悪くはありません。
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