「サーチャージ」

 燃油サーチャージは奇妙なものに見えます。
 海外旅行に行くときに支払う、飛行機運賃とは別の燃料代特別追加分の料金です。サーチャージそのものは10年くらい前からあったようですがここ最近の原油高で、この燃油サーチャージもうなぎのぼり。飛行機の表向き運賃が3万円で、サーチャージが追加で2万円なんていう切符もあらわれているそうです。以前のように航空運賃だけ聞いて切符を買うとあとでびっくりしますね。このまま行くと、しまいには正規の飛行機運賃よりもこっちほうが高くなったりして・・・・。
 日本国内を飛ぶ国内線のほうは、このサーチャージの仕組みで別途加算しないので、運賃そのものが値上げされています。燃料費高騰で収益があやしくなった航空会社にとっては苦肉の策。日本以外のアジアの国では、その多くで国内線でもサーチャージ制度が導入されているそうです。これだと飛行機に乗るたびに、運賃がいくらで、サーチャージがいくらと、2つの値段を確認することなります。
 いずれにしても僕は飛行機に乗る機会はそれほどありませんから、たいして困っているたわけではありません。
 ただ、この仕組みがほかの運送業界にも波及するかもしれないので、気になっています。航空業界ではサーチャージは国際標準ですが、これが海運にも導入されると、例えば大豆を輸入するのに大豆代金プラス運賃(船代)プラス燃油サーチャージと3つの要素で価格が決まることになります。
 空運や海運と同じく陸上輸送だって、燃料高は頭の痛い問題です。タクシーに乗ったら初乗り600円にプラスサーチャージ300円とか。こんなこと現実に起こったらたいへんです。長距離のトラック会社は、どんな企業努力をしているのでしょうか? 聞いてみたい気もするし、聞いてみたくない気もします。うちに出入りの宅配便の会社はまだ、どこからも値上げの話は来ていません。いまのところ、です。これも1社が値上げに踏み切ると、次から次へと値上げになりそうで恐いです。運賃は今までと同じままでサーチャージで加算なんて話になったりして。わかりません。
 こういう加算方式はもともと旅行業界にはありましたよね。冬にとても寒い地方のホテルや旅館を利用すると、宿泊費のほかに500円くらい暖房費をのっけるところもありますし、温泉旅館では入湯税はほとんどが別建てです。
 消費者からは見ればややこしい複雑な仕組みであっても、明細を知らせることによってお客さんになんとか了解してもらおうという業界の知恵なのかもしれませんね。私たちがズルしてもうけるんじゃないんです、実費でかかるんです。まあそういうことですね。すっきりと計算してもらったほうが僕個人としては簡単でいいのですが。
 だってこれがほかで導入されたら本当にたいへんですよ。タクシーに乗れば運賃のほかにサーチャージ。さんまを買いに行ったら、さんま代金のほかに船を動かすサーチャージ。おコメを買ったらコメ代のほかにトラクターを動かすサーチャージ。豆腐を買ったら、原料大豆のサーチャージ、大豆を煮るのにサーチャージ。ガソリンを入れにガソリンスタンドに行ったら、ガソリン代のほかに精製工場から運んでくるタンクローリーのサーチャージ。ああ、悪い夢を見ているようです。現実なのかジョークなのか。しばらく考えないことにします。 




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