「35度でゆるして」

 「猛暑日」というのは去年の4月にはじめて出来た言葉です。新しい言葉です。それまでは酷暑日なんていう言い方もあったようですが、気象庁が猛暑日で統一する旨、発表しました。それ以来、「猛暑日」。最近よく耳にしますね。
 昼間の気温が30℃以上なら「真夏日」、また25℃以下に下がらない晩を「熱帯夜」と呼んでいたのですが、皆さん覚えていますか。「真夏日」も「熱帯夜」もとんと聞かなくなったので忘れてしまいそうです。
 新しい最高気温がでたのも2007年。去年のことでした。
 岐阜県多治見と埼玉県熊谷で40・・・何度でしたっけ? あまりの暑さで記憶が飛びました。ごめんなさい。
 調べてみると2007年8月16日だそうです。最高気温40.9℃。すごいですねえ。それまでの最高は1933年に山形市で記録された40.8℃の記録。74年ぶりに記録更新は嬉しいのか、嬉しくないのか、おめでたいのか、おめでたくないのか、こうなるともうわかりません。もし頭の中が40℃を超えているなら、医者に行ったほうがいいでしょう。それしか分かりません。
 今年の夏、記録更新、初の41℃台がでるのでしょうか。(これは7月31日に書いています。)いまはまだ出ていませんが、連日の猛暑日は続いています。岐阜県の多治見は今年もすごいです。この一週間だけで37℃、38℃、39℃と立て続けに記録を出していますので期待ができるかもしれません。多治見って、夏の暑さで有名になってしまいましたね。沖縄よりもずっと暑い! 
 新しい言葉が出来て、新しい場所が有名になり、夏のニュースも変わりそうです。気温がぐっと高くなったのはこの20年ほどらしいのですが、いったいどこまでいくのか。できるものなら35℃くらいでゆるしてほしいですね。これ以上ははっきりいって身体に毒です。
 40度なんていったら大体なんでも危ないレベルに入ります。お風呂だって40度ならけっこうな温度だし、蒸留酒、焼酎やウィスキーなら火がつきます。スキーの斜面だって40度っていったらほとんど絶壁に思えるし、朝鮮戦争だって38度線の攻防でした・・・・。
 すみません。ごめんなさい。少し言い過ぎました。
 気温40℃ってどんな温度ですか。アスファルトやコンクリートの多い都会は、気象台で公表する気温よりも実際はもっと高いでしょう。熱中症で病院に運ばれる人も続出するでしょう。35℃を超えると身体に負担がかかって、しんどそうだということだけは分かります。
 余談ですが、35℃を超えるとイネも弱ります。
 いまイネは動物でいえば妊娠しておなかがふくらんでいく時期にあたります。モミの中にミルク状の栄養分を送り込んでいる時期です。ところが、あまり暑いと、呼吸や蒸散といった普通の生活を親のほうが出来なくなってしまいます。すると子供にあげたはずの栄養分で親が食いつなぐということが起こります。夏の真っ盛りに親にピンはねされて育った子供はやがて栄養失調をおこし、秋に取れた米はツブが小さいとか、ふぬけ、スカスカだといった障害が出ます。生育障害というものです。
 その障害が出るかどうかの境い目が35℃あたりなのです。冷たい水をこまめに引いて、イネの体温を下げる努力はしますが、それだって限度というもんがあります。
 さて、新潟も梅雨が明けていよいよ夏本番。これから気温が高くなっていきます。イネ的にも、人間的にも、適度なところでおさまってくれることを祈ります。




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