「メタミドホス」

 9月に発覚した三笠フーズ汚染米転売事件について書かないわけにはいきません。
 ここでもまたメタミドホスが出てきました。半年ほどまえに大騒ぎになった中国産冷凍ギョウザ中毒事件がメタミドホスでした。メタミドホスは有機リン系の農業用殺虫剤とのことですが、日本では毒性が強いため使用が禁止されています。もちろん僕らが農産物を栽培するにあたって使うことはありません。国内で使用すると農薬取締法違反になります。中国でもメタミドホスは毒性が強いとして現在は完全に使用禁止の農薬です。
 ではそのメタミドホスに汚染されたコメがなぜ、日本国内に流通しているのでしょうか? 大阪市内の病院で見つかったコメからは、残留基準値のなんと5倍にもなる農薬が含まれていたそうです。考えられないような話です。酒造会社や菓子メーカーにとどまらず、日本全国いたるところで見つかっています。うちの息子の通う保育園からも通知が来て、市内のいくつかの保育園の給食でこの汚染米の混入があったと報告がありました。どうしてコメどころ新潟の給食にまで入っているのでしょう? やり場のない怒りのようなものが湧いてきます。
 はっきりしていることは殺虫剤に汚染された外国産のコメを、商社か誰かが輸入したということです。そしてそれが問題のあるコメだということを国は知っていながら流通させたということです。これは自由な流通ではなく、国がかかわった流通なのです。
 三笠フーズという悪徳会社を摘発したのは農水省ってことになっていますが、今回の事件では三笠フーズも農水省もグルです。農水省も犯人の一部と考えて間違いないでしょう。「食用に転売されること」を黙認していたのは農政の内部です。
 9月19日、農水大臣は辞任し、事務次官は更迭されました。決着はいつもの通り・・・・。トップの二人のクビが飛ぶだけで、事件の幕は下ろされるのかもしれません。大臣も次官も、敵前逃亡だとの報道もあります。警察もマスコミももっと詳しく追及してもよさそうなのに、なんだか手ぬるい感じがします。あまり追いかけると、トラの尻尾でも踏んでしまう可能性があるのでしょうか? 
 闇はどこまでも深そうですね。まったくひどい話です。
 
 そもそも食糧管理制度って何なんでしょう? 農政不信や食の安全性に対するあやうさは、どこまで行くのでしょう?
 農業者としてはっきり言うと、僕は国ごとの食糧自給率なんてどうでもいいと思っています。外国産食品はすべて危険だとも思わないし、国産が必ずしも安全安心だとは限りません。今回の事件だって国内の仕組みのほうに明らかに問題がありました。美味しくて安全なものなら海外からどんどん輸入していいと思うんです。国内農業を保護しなきゃいけない、だから外国産農産物はいけない、外国産食品は問題だ、なんていうのはある種の政治用語です。「選挙のための論理」は、かえってものごとを複雑にしてしてしまう。
 本当に大事なのは透明性じゃないでしょうか。どこでだれが作ったか。それをどこの誰が食べるのか。これが生産者と消費者の双方にに見えればいい。それだけです。
 直売が一番いいのですが、すべての食品を生産者から直接購入するのは現実には無理です。ときには外食だってしますし・・・・。たぶん「安全そうに見えるもの」よりも「知っている人から買う」、これが食の安全安心には第一でしょう。すると食糧管理制度ってのは、国単位ではなく家計単位になりますか。 




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