「散歩道」

 垣根の、垣根の、曲がり角。たき火だ、たき火だ、落ち葉たき。

 落ち葉の季節になりました。家の裏手に大きな大きなケヤキの木があって、たくさんの量の落ち葉が舞っています。靴の裏で落ち葉を踏みしめるときのクシャクシャという感触、アレがたまりません。
 落ち葉の道を歩くと、なんだか子供にかえったような気になります。子供の頃、周りに歩きたいものがたくさんありました。
 水たまりを長靴をはいてジャブジャブと歩いたときも楽しかったし、寒い朝、薄氷を割りながら歩いたのも、素敵な足の裏の記憶です。
 夏の砂浜では、裸足で歩きました。冬は、スキー靴を履いてふかふかの雪を踏みました。神経を足の裏に集中する機会は、結構あるものです。
 大人になった今は、手入れの行き届いた芝生のうえを歩くのも大好きです。だんぜん気持ちいいのはサッカー場のピッチ。こまめに刈り込まなきゃいけないようですから、管理するほうは大変です。
 30年くらい前までは、芝生というと、冬に黄色くなっていましたが、最近は冬でも青々としています。外来種を取り入れ、栽培技術が進歩したのです。真冬でも短くガッチリとした芝生に出会うことが出来るようになりました。
 屋上を緑化しようという動きが、大きくなってきているようで、そんなところでも芝生は活躍しています。屋上に芝生を植えて遊歩道。都会のコンクリートジャングルに「緑が増える」という視覚的な効果に加えて、夏の冷房や冬の暖房の電気代がかからなくなるといった断熱効果も、ずいぶん高いのです。
 木造2階建ての屋根に芝生を貼ってしまう「驚異の家」もあるそうです。重くて家はつぶれないのか、根は柱に食い込まないのか、雨漏りは起きないのか、芝生への水やりはどうするのか。木造住宅の屋根に芝生? 謎は深まり、心配はつきませんが、ともかく実際に何軒もあるそうです。技術の進歩には目を見張ります。
 自分のうちの屋根の上で、芝生にシートを敷いてお弁当なんか食べたら、まるでピクニックに来たみたいになってしまいますね。近い将来、そんな「緑の家」で屋上散歩ができたら楽しいかもしれません。
 落ち葉の道でたたずんだり、芝生の広場に腰を下ろしたり、本来は大地の上でしかありえなかったことですが、技術の進歩のおかげで建物の上でも可能になりました。建築の技術、防水シートや軽量土といった資材の技術、日本独自の造園の技術、さまざまな技術が組み合わさっています。
 ひと昔前は、技術といえば、木を切り山を削り、コンクリートで川の流れをせき止める。そういうものでした。最近は、川の堤防からコンクリートをはがして、雑草を植え、水の流れをまた作りなおす、そんな土木工事も増えてきました。
 東京では屋上でミツバチを飼っている人もいるそうです。
 これからも「緑」を維持する技術はいっそうみがかれ、マンションの屋上に、一面のコスモス畑、ラベンダー畑、トマト畑ができる日もそう遠くはないでしょう。四つ葉のクローバーでも探しに出かけますか。
 




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