「ホントの中身を教えてほしい」

 またまた偽装表示が発覚しました。大きなものは2つ。
ひとつは、大阪の阪急阪神ホテルズ。メニューには芝えびとあるのに、実際の料理には値段の安いバナメイエビを使っていた。霧島ポークと表示しながら、別の産地の豚肉を使っていた。九条ネギとあるのに、一般のネギに替えていた、など。いずれも高級感を出すためにブランド品を使っていると装っていました。一品目だけでなく多種類に及ぶことから、偶然のミスではなく、意図的だろうと思われます。そして、悲しいのは、こういった偽装ホテルが次々とあわられたことです。騒動は日本中に広がりました。世界的な名門・リッツカールトン大阪。東京の帝国ホテル。札幌のルネッサンスサッポロホテル、ジャスマックプラザホテル。JR四国のホテルクレメント徳島、ホテルクレメント宇和島。浜松のホテルコンコルド浜松。大津プリンスホテル。インターネットであたると枚挙にいとまがありません。日本各地のホテルで、メニューの虚偽表示は常態化している、ようです。
 もうひとつは、コメの偽装表示。こちらは史上最大の偽装といわれています。
三重県の米穀卸が、中国産やアメリカ産のコメを国産と偽って販売していました。酒や米菓向けの加工用米を主食用として販売していました。その量なんと4400トン。30年にもわたるそうです。取引先にはイオン、ダイエー、フジパン・・・有名どころがズラリ並びます。コメの場合は外見上の差異がほとんどないので、「混ぜる」ことは簡単です。しかし、簡単だからといって混ぜて偽装するのは、詐称ですし、消費者に対する裏切りだと思います。販売されている新潟県産米の量は、新潟県で生産されている量よりもずっと多いという指摘は、以前からいわれてきました。産地偽装には長い歴史があります。
学歴を詐称して就職すると大問題ですが、アイドル歌手が年齢を詐称するのは大目に見てもらえます。食品の偽装・詐称は、大目に見てもらえる程度のことなのでしょうか?どの程度のごまかしなら、許されるのでしょうか? こういったニュースを見るにつけ、激しい怒りを覚えるのは、私が農業という職業だからかもしれません。農家でごまかす人はあまりいないと思うのです。ほとんどの生産者は自分の作ったものに誇りを持っているからです。しかし、流通段階で米屋やスーパーを経由し、ホテルの厨房や街のレストランにいくと、なぜかすり替わってしまう。もちろんすべての米屋やレストランがインチキだとは言いません。善良で正直者のお店だってたくさんあるでしょう。

5年くらい前に、農薬の残留している米やカビの生えた米を、弁当屋さんが買うという事件がありました。政府管理の接着剤用としてしか用途のない米を、なぜお弁当屋さんが買えるのでしょう? たとえば農水省が、そして食糧庁がほんとに相手が誰かを知らずに売ったとは、信じられません。お弁当屋さんに売り渡して工業用接着剤に使うとは、誰も考えていないでしょう。異物混入の片棒は政府が担いでいるように考えるのが自然です。大手のホテルや政府が関わっているのですから、だましているという罪の意識よりも、知らないお前のほうが悪い、そんな風潮になって来たのを感じます。

 日本人は今、世界で一番「遺伝子組み換え食品」を食べている。そんな話、にわかには信じられますか?しかし、ある意味で事実です。豆腐でも納豆でも「遺伝子組み換え大豆は使用していません」とほとんどの商品で書いてあります。この場合の「不使用のライン」は5%です。ん、ラインは5パーセント? はい、おかしな話です。5%以内の混入であれば「遺伝子組み換え不使用」と表示できるのです。

 事実を確認すると、日本で流通している大豆のうち国産はわずか5%です。95%は輸入品。アメリカでは全大豆のうち遺伝子組み換え大豆の作付けは9割にも及ぶ、といわれていて、日本の輸入の8割はその米国産です。95%x9割x8割=68%ですから、単純計算で日本国内にある大豆の約7割は遺伝子組み換えです。常識的に判断すれば、混入しているのは5%のはずがありません。
 食用油やマヨネーズ、醤油などには初めから遺伝子組み換えの表示義務はありませんので、私たち日本人は日々の生活の中で「遺伝子組み換え食品」を大量に摂取しています。遺伝子組み換え食品が危険なのかどうかはまだ解明されていませんが、「日本人で壮大な人体実験をしている」、そんな皮肉もある意味で事実です。
ですから健康にいいだろうと大豆食品を積極的に食べることは、もしかして将来のリスクを抱え込んでいることかもしれません。

いま世界でもっとも食べ物の美味しい国は日本だと思いますが、安全安心というその基盤が揺らぎつつあるのではないか、そんな気がします。
美食先進国も、現在が栄華のときでしょうか。「悪貨は良貨を駆逐する」16世紀のイギリスのことわざを思い出しました。




 
雪の重みで折れた枝も花芽が膨らみ始めました
雪の重みで折れた枝にも花芽
青空と雪の田んぼ
雪の下は、湿度100%も温度0℃と微生物好みです



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