「外来種」

 凶暴なハチ、伝染病をもたらす蚊、毒グモ・・・恐ろしい虫とはこのくらいだと思っていました。アリなんて人畜無害だとばかり思っていました。
 南米原産のヒアリ。そのへんにいる普通のアリと見かけはほぼ一緒ながら、お尻に毒針を持っていて攻撃的な性格。アメリカでは人間の死亡例もあるという。強烈なのがいるんですね。知りませんでした。
 初めて日本で見つかったようですが、果たして危険性はどの程度のものなのでしょうか。
 日本は海に囲まれているゆえ、外来種に対しての意識がとても敏感です。
 これだけ人もモノも世界中と行き来のある時代ですから、外来種が入ってくることは避けられません。むしろ、これまでアリンコ一匹を通さなかったことが驚きです。世界中で繁殖しているアリを上陸させない水際作戦がいかに効果が高かったのか、・・それはそれですごいことです。
 しかし永遠に守り続けることはやはりむずかしく、国境線を突破されてしまいました。これからは各方面でアリ塚の駆除を地道に進めていくことになりましょうが、おそらく10年戦争、百年戦争を覚悟しなければなりません。

 外来種が嫌われるのは、主に2つの理由があって、1つは人間に害があり命を脅かす場合。今回のヒアリがまさにそうですね。
 そしてもう1つは、生態系を破壊する可能性がある場合です。例えば、全国の湖に繁殖しているというブラックバスやブルーギル。生命力が強く、もともといた魚たちを駆逐してしまいます。草では、セイタカアワダチソウ。黄色い三角帽子が特徴で、空き地にひとたび生えてしまうと、同時に生存できるのはもうススキくらいしか残りません。
 こういったものへの対策として、外来生物法という法律が10年ほど前に出来ていますが、駆除または共存がうまくいっているとは言えません。田んぼの中に生える雑草にもアメリカアゼナというものがあって、これは日本に昔からいたアゼナよりも生命力が強く、私たち農家にとってはいやな害草になっています。

 しかし外来種がすべて悪というわけでは、もちろんありません。
 農業の現場でも、カタカナの野菜・果物なんてほとんどが外来種です。レタス、キュウリ、トマト、セロリ、・・。それからナスでもピーマンでもキャベツでも、現在では外国品種とのかけ合わせで品種改良が進んでいます。そもそもイネですら、遠い昔に大陸から渡ってきた外来の植物です。
 花であればカーネーションやチューリップにかぎらず、花屋にある多くものが外来種ですし、畜産であれば、牛も豚も鶏もほとんどがそうです。むしろ日本固有の黒毛和牛なんていうほうが今では希少になってしまいました。ペットショップに行けば、犬、熱帯魚、カブトムシ、小鳥やらカメレオンやらワニやら、外来種が全盛です。
 私たちの生活圏は「憎き外来種」ではなく素晴らしい外来生物に囲まれているのではないか、とも思えますがどうでしょうか。

 外来種のなかでも、日本全国に定着したと見なされるものは「帰化生物」と呼ばれます。
帰化。外国出身の力士が新たに日本国籍を取得したときに使われる言葉ですね。単なる法律用語でしかないのに、なぜか感情を刺激する言葉でもあります。
 なんとなく外国出身というだけで、拒否反応が出たり潜在的な脅威と考えてしまいがちですが、でももし、私たちの食卓に外来種が一切のぼらないとしたら、粗末な食事になるに違いありません。もし相撲で外国出身の力士を認めなかったら、土俵も味気ないものになるかもしれません。
 異質なものをすべて排除してガラパゴスを守り続けるのが最高とは思えませんし、そもそも今では出来ない相談です。かといって、舶来のあらゆるもの受け入れてグローバルスタンダードに染まるのも、これまたむずかしい。
 海外からの珍客との出会いは、私たちのバランス感覚をきたえるいい機会なのかもしれません。



イネの赤ちゃんの長さで、肥料のタイミングを計る

イネの花は午前中に咲く

田んぼには生き物が多い



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