「メンバー紹介
2020年9月号

 「ザリガニに、威嚇された。ハサミをY字に掲げて、半身を起こして、グリコのポーズ?」
 まさか人間と戦う気じゃないでしょうが、ザリガニは真っ赤な身体に、大きなハサミなので、田んぼで見る生物のなかでは異質です。「ザリガニに挟まれたことある。結構痛い。」
 「ザリガニは前にはあまり進まないでしょ。後ずさりはジェット噴射みたいで早いけど。」
 「だから、捕まえるときは背後からそっと近づいて、2本の指でUの字を作ってザリガニの腰をあたりをキュッとつかむ。」「水の中では動きが速いから、捕まえるのは大変だ」「子供の頃、近所の公園に池があって、そこにはザリガニが、マッカチンって呼んでたんだけど、いっぱい居たんだ。よくスルメで釣りもしたよ。タコ糸にスルメを括り付けるだけで簡単に釣れる。で、最初はスルメをエサに釣りはじめるんだけど、ザリガニって共食いするから途中からエサが変わる。バケツの中のザリガニの身を二つ折りにして殻をむいて、するとエビみたいな白いプリプリの身が出てくる。今度はそれをエサにして、また釣る。」
 「そういや、日本じゃあまり食べないけど、でも世界中で食べられているよね。ごちそうの部類として。甲殻類の白身だからきっとおいしいよ」
 「ロブスターもザリガニの仲間じゃなかったっけ?」

 田んぼの中に今年は、ザリガニが多くいます。天候の加減でしょうが例年よりも多く見かけます。いつも水があって、イトミミズやドジョウなんかと同じところに住んでいるようです。
 「威嚇って、誰に対してしてるのかな? 天敵はだれ?」 「鳥? 鴨? サギ? 色も目立つし上から狙われたらひとたまりもないね。殻つきでカルシウムもきっと豊富だし最高だ。」
「空からくる相手に一生懸命ハサミを見せても、あまり威嚇効果はなさそう。」 「あ、ヘビ? ヘビはなんでも丸呑みだからハサミ持ちは厄介だね。小さなヘビだと、あのハサミでちぎられてしまう。」
 「茶色いカエルが今年は多いかも。アマガエルでもなく殿様ガエルでもない、あれを食べに来ているんだな。カエルってにらまれると動けなくようだし。」 「ヘビににらまれた時でしょ。ザリガニのハサミにも、カエルはおびえて立ちすくむのなかな?」 「ザリガニは水草や藻もたべるだろうけど、脱皮するからカルシウムは栄養として必須。好きなエサは貝じゃないかな。ハサミを使ってタニシを割るとか・・。」
 「ところで、どうしてアメリカザリガニっていうだろう? アメリカから来た外来種ってこと?」
 「まあ、おかしな名前ってあるよね。塩辛トンボとか。なんであの薄い水色のトンボが塩辛なんだ? イカの塩辛とかタコの塩辛とか、全然違う色だよ。」
 「赤とんぼは赤いし、まあ見たまんまだけど、鬼ヤンマとか。鬼って、ああいう感じなのかな、誰のイメージなんだろう。」 「奇抜なネーミングだよね。殿様バッタってのもいる。殿様ってのは、お城の中にいて羽織袴にちょんまげじゃないのか。バッタで殿様って。」 「殿様ガエルもいる。少しも強そうじゃないし、ぴょこぴょこ跳ねて威厳もない。」

 今年は、雪のない冬に始まり、天候に振り回されてきました。
 雪国に雪がなくて大丈夫なのかと気を揉んでいた春先、3月4月は一転して曇天続きで田んぼが乾きません。その後、6月までは気温がぐんぐん上がり、イネもすこぶる順調に成長し安心しました。
 しかし7月は雨続きで梅雨が長くて、病原菌が入るのではないかと冷や冷や。8月に入ったら一転して猛暑に日照り。
 イネにとっても、田んぼの周りの生物にとってもいろんなことのあった1年でした。田んぼにはたくさんの生き物がいます。よく観察してみれば、食べたり食べられたりとそれぞれが苛烈な暮らしをしているのですが、それも含めて田んぼの仲間たち。
 私たち農家と共に、イネを育ててきた大切なメンバー達です。
 イネの穂は段々と色づき、間もなく収穫となります。ザリガニやタニシやドジョウや、茶色いカエルや塩辛トンボ、今年活躍した仲間たちにも厚く感謝です。











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